「ゲームは健康に悪い」と言われた時代は、もう昔の話かもしれません。
最近では、ゲームが脳やメンタルに良い影響を与えるという研究も増えています。
もちろん、長時間のプレイや依存には注意が必要ですが、うまく付き合えば、ゲームは健康的な生活の一部になり得ます。
この記事では、最新の研究をもとに「ゲームと健康」の関係を解説します。
ゲームが脳に与えるポジティブな影響
適度なゲームプレイは、集中力・反応速度・空間認知能力を鍛えることがわかっています。
特にアクションゲームやパズルゲームでは、脳の情報処理スピードが向上するという報告もあります。
また、ゲームをプレイすることで、脳の「報酬系(ドーパミン経路)」が適度に刺激され、モチベーション維持にもつながります。
参考論文:Bavelier, D. et al. (2012). “Cognitive benefits of playing video games.” Nature Reviews Neuroscience.
ストレス解消とメンタルヘルスへの効果
ゲームにはリラックス効果やストレス軽減作用もあります。
特に軽い運動を伴うフィットネス系ゲームや、ストーリー性の高いRPGなどは、没入感を通して日常のストレスを緩和する働きがあります。
心理学的にも、「好きなことに没頭する時間(フロー状態)」は幸福感を高める要因とされています。
ゲームはその“フロー体験”を日常的に得やすい手段の一つなのです。
参考論文:Russoniello, C. V. et al. (2009). “The effectiveness of casual video games in improving mood and decreasing stress.” Journal of CyberTherapy & Rehabilitation.
ゲームと身体活動 — “動くゲーム”が健康を変える
最近では、Nintendo Switchの「リングフィット アドベンチャー」やVRフィットネスゲームのように、**体を動かすゲーム(Exergame)**が注目されています。
これらは運動不足の人にも取り組みやすく、楽しみながら継続できる点が魅力です。
研究では、Exergameが心拍数・筋活動を適度に上げ、軽〜中強度の運動として健康維持に役立つことが報告されています。
特に高齢者やリハビリ患者の運動習慣づくりにも効果的とされています。
参考論文:Warburton, D. E. R. et al. (2007). “Exergaming: Motivating physical activity through interactive video games.” Canadian Journal of Cardiology.
ゲームが社会性とつながりを育む
オンラインゲームを通して、他者とのつながりや協力関係を築くことも健康の一部です。
特にコロナ禍以降、デジタル空間での交流は孤独感を減らす役割を果たしました。
チームプレイや協力プレイでは、自然とコミュニケーション能力や協調性も育まれます。
実際に、オンラインゲームを通して社会的スキルが向上したという研究もあります。
参考論文:Cole, H. & Griffiths, M. D. (2007). “Social interactions in massively multiplayer online role-playing gamers.” CyberPsychology & Behavior.
ゲームの“やりすぎ”に注意するポイント
どんなに良い効果があっても、「やりすぎ」は逆効果です。
長時間プレイによる睡眠不足や姿勢の悪化は、健康を損なう原因になります。
健康的にゲームを楽しむためのポイントは以下の通りです。
- 1回のプレイは60〜90分以内に区切る
- 30分ごとに軽く体を動かす
- ゲームの後は目と脳を休める(深呼吸やストレッチ)
- 寝る直前のプレイは避ける(睡眠の質を下げる)
このように“遊び方をデザインする”ことで、ゲームは健康的な趣味に変わります。
まとめ:ゲームは「上手に使えば」健康を支えるツール
ゲームは悪ではありません。
使い方次第で、脳・体・心をバランスよく刺激する健康ツールになり得ます。
- 集中力や判断力を高める
- ストレスを和らげる
- 体を動かす機会を作る
- 人とのつながりを生む
「健康のためにゲームをやめる」よりも、
「健康のためにゲームをどう楽しむか」を考える時代に変わりつつあります。
今日のプレイ時間を、少しだけ“意識的に”してみましょう。
それが、心も体も健やかに保つ第一歩になります。
参考文献・論文
- Bavelier, D. et al. (2012). Cognitive benefits of playing video games. Nature Reviews Neuroscience.
- Russoniello, C. V. et al. (2009). The effectiveness of casual video games in improving mood and decreasing stress. Journal of CyberTherapy & Rehabilitation.
- Warburton, D. E. R. et al. (2007). Exergaming: Motivating physical activity through interactive video games. Canadian Journal of Cardiology.
- Cole, H. & Griffiths, M. D. (2007). Social interactions in massively multiplayer online role-playing gamers. CyberPsychology & Behavior.
- Przybylski, A. K. (2014). Electronic gaming and psychosocial adjustment. Pediatrics.
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