「なんだか顔色が悪いね」と言われたことはありませんか?
鏡を見ると、肌が白っぽく見えたり、くすんで見えたり、いつもより血色が乏しく感じることがあります。
顔色の変化は、体内の状態を映す“健康サイン”。
疲労や睡眠不足のような一時的な要因もあれば、貧血や血流障害など体の深部で起きているサインの可能性もあります。
ここでは、顔色の変化をタイプ別に見ながら、考えられる原因と対処法を整理します。
1. 顔が青白い・血の気がないタイプ
主な特徴
- いつもより顔色が白く、青みがかって見える
- 唇やまぶたの裏が淡い色
- 立ちくらみ、疲れやすさ、息切れを伴うことがある
考えられる原因
- 貧血(特に鉄欠乏性貧血)
血液中のヘモグロビンが不足し、酸素が全身に行き届きにくくなります。 - 低血圧・血行不良
血流が弱くなることで、皮膚表面の赤みが減少します。 - 冷え・ストレス
交感神経が優位になり、末梢の血管が収縮。特に冬場に目立ちます。
対処法
- 鉄分を多く含む食品(赤身肉、レバー、あさり、ほうれん草など)を摂取
- 適度な運動で血流を促進
- 睡眠不足やストレスを解消する
- 顔色の悪さが長期間続く場合は、血液検査(ヘモグロビン値)を受ける
2. 顔が黄色っぽい・くすんで見えるタイプ
主な特徴
- 肌が全体的に黄みを帯び、ツヤがない
- 「疲れてる?」と言われやすい
- 目の白目部分が黄色いこともある
考えられる原因
- 肝機能の低下
ビリルビンという色素が体内に増え、肌や目が黄みを帯びます。 - 脂質代謝異常や糖代謝異常
食べ過ぎや飲酒が続くと、肝臓への負担でくすみが増します。 - 酸化ストレス
紫外線・喫煙・過労による酸化で肌の透明感が失われます。
対処法
- 肝臓を休める:飲酒を控える・脂質の多い食事を減らす
- 抗酸化食材を取り入れる(トマト、緑茶、ブルーベリーなど)
- 睡眠リズムを整える
- 白目まで黄色い場合は、肝機能障害の可能性があるため受診を推奨
3. 顔が赤い・ほてって見えるタイプ
主な特徴
- 頬や鼻の周りが赤く、熱っぽい印象
- のぼせ、ほてり、汗をかきやすい
- ストレスや緊張で一時的に赤くなることもある
考えられる原因
- 血管拡張による一時的な血流増加
運動・入浴・飲酒・辛い食べ物・感情反応など。 - 高血圧や更年期症状
血流調整の乱れでほてりや顔面紅潮が出ることがあります。 - 皮膚炎・酒さ(しゅさ)
慢性的な赤みや毛細血管拡張を伴う場合があります。 - 風邪・ウイルス感染の初期反応
免疫反応で体温が上がる際、顔の血管が拡張して赤く見えることがあります。
特にだるさ・喉の違和感を伴うときに見られます。
対処法
- まず体温計で熱を測り、発熱の有無を確認する
- 発熱・倦怠感・喉の痛みなどがあれば、風邪や感染症の可能性を考えて内科受診を検討する
- 深呼吸やストレッチで自律神経を整える
- 辛い食べ物・アルコールを控える
- 夜更かしを避け、十分な休息をとる
- 赤みが長引いたり、皮膚のヒリつき・赤いブツブツが続く場合は皮膚科受診を検討
4. 顔が灰色・土色に見えるタイプ
主な特徴
- 顔全体がくすみ、透明感がない
- 疲労感、むくみ、無気力を伴う
- 特に朝や仕事終わりに目立つ
考えられる原因
- 血行不良・睡眠不足・過労
酸素供給が滞り、血色が鈍くなる。 - 喫煙・酸化ストレス
ニコチンによる末梢血管収縮で肌が灰色がかる。 - 慢性ストレス・自律神経の乱れ
交感神経優位による血流低下と皮膚温低下。
対処法
- ぬるめの入浴(38〜40℃)で全身を温める
- 軽い有酸素運動(散歩、ストレッチ)で血流を改善
- 就寝前のスマホ使用を控え、睡眠の質を確保
- タンパク質・ビタミンB群を含む食事で代謝サポート
顔色の変化を見逃さないために
「顔色が悪い」は、外見の問題ではなく、体内のコンディションを知らせるアラートです。
一時的なものであれば生活リズムの調整で回復しますが、
長く続く、または息切れ・めまい・黄疸などの自覚症状を伴う場合は、医療的な検査が必要なサインかもしれません。
日々の疲れを「顔が教えてくれる」こともあります。
鏡を見るときは、肌の色だけでなく、自分の体の声も感じ取ってみてください。
参考文献
- Kalantri A et al. (2010) PLoS ONE, 5(1): e8545.
- Sheth TN et al. (1997) J Gen Intern Med, 12(2): 102–106.
- Horibata Y et al. (2025) J Gen Fam Med, 26(3): e776.
- Blatteis CM. (2006) Comprehensive Physiology, 6(2): 157–201.
- Romanovsky AA. (2018) Autonomic Neuroscience, 209: 14–20.
- Cleveland Clinic (2023) “Pallor: Causes, Symptoms, and Treatment.”
- 日本内科学会雑誌(2024)『皮膚色の変化と循環動態の関連性』.


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