どれか一つだけ筋トレするなら何がいいか ― 一種類に絞るのは無謀なのか

忙しい時期に筋トレが崩れる最大の理由は、意志ではなく設計です。メニューが多いほど準備と判断が増え、結局ゼロになりやすい。だからこそ、まずは一種類に絞る戦略には合理性があります。

結論から言うと、短期から中期の立て直しとして一種類に絞るのは無謀ではありません。ただし長期で見れば、体の偏りを減らすために複数種目へ広げるのが理想です。この記事では、都心で働く40代前後が現実的に続けやすい一手として、最優先の一種目を提案します。

一種類だけに絞るのは無謀か

無謀になりやすいのは次の2パターンです。

  • 重すぎる負荷や難しすぎる種目を一種類に固定する
  • 痛みがあるのにフォームを崩して回数だけ増やす

逆に、次の条件なら一種類運用はかなりうまくいきます。

  • 毎回の判断を減らして継続率を上げる
  • その日の体調に合わせて強度を上下できる
  • 関節や腰を守る形に調整できる

一種類に絞るメリットは、筋肉を増やすこと以上に、習慣をゼロにしないことにあります。健康習慣は積み上げよりも、まずは途切れない設計が勝ちやすいです。

どれか一つだけならおすすめはスクワット

一種類だけで全身を完璧に鍛えるのは難しいです。それでも一つ選ぶなら、最も費用対効果が高い候補としてスクワットを推します。

理由はシンプルです。

  • 大きな筋肉を使いやすい
  • 道具なしで始められる
  • 強度の調整が簡単
  • 日常動作に直結しやすい

腕や胸、背中の刺激は相対的に弱いですが、健康習慣の立て直しという目的なら、まず下半身と体幹を動かすメリットが大きいです。

スクワットを一種類運用する場合の現実的なやり方

まずは椅子スクワットから始める

いきなり深くしゃがむより、椅子を使ったやり方が安定します。

  • 椅子の前に立つ
  • お尻を後ろに引きながら座る動きを作る
  • 椅子に軽く触れるか座ったら立つ

この形なら、フォームが崩れにくく、膝や腰の負担を調整しやすいです。

フォームの最重要ポイントは二つだけ

細かいフォーム論で疲れると続きません。最初は次の二つだけで十分です。

  • お尻を後ろに引く
  • 足裏全体で床を押す

膝の角度を細かく気にするより、まずこの二点を守る方が安全側です。

週に何回どれくらいやるか

最初の目標は筋肥大より継続です。おすすめの最低ラインはこれです。

  • 週2回から3回
  • 1回あたり2セットから3セット
  • 1セットはきつい手前で止める

きつい手前とは、あと2回くらいできそうな余力が残る感覚です。追い込みすぎると翌日が重くなり、習慣が切れやすくなります。

できるようになったら強度を上げる順番

負荷は段階的に上げます。おすすめの順番は次です。

  • 回数を増やす
  • セットを増やす
  • ゆっくり下ろす
  • 片脚寄りにする
  • 重りを持つ

重りは最後で大丈夫です。忙しい人ほど、道具を増やすほど脱落しやすいからです。

一種類運用の弱点と補い方

スクワットだけだと、押す引くの上半身刺激が不足しやすいです。ここを真面目に埋めようとすると、結局メニューが増えて崩れがちです。

おすすめは、筋トレ種目を増やすのではなく、生活の中で上半身の刺激を少し足す方向です。

  • 階段を使うときに手すりを軽く押す意識を持つ
  • 通勤や買い物で荷物を持つ時間を少し増やす
  • デスクで肩甲骨を寄せる動きを数回入れる

これはトレーニングというより、偏りを少し薄める工夫です。一種類の強みを壊さずに続けられます。

一種類に絞るときに避けたい落とし穴

  • いきなり毎日やる
  • きつさを正義にして追い込む
  • フォームが崩れても回数だけ増やす
  • 痛みを我慢して続ける

特に痛みはサインです。違和感が続く場合は、フォームや可動域を小さくする、椅子スクワットに戻すなどで調整し、それでも改善しないなら専門家に相談する選択肢もあります。

まとめ

一種類だけに絞るのは無謀ではありません。むしろ忙しい時期の立て直しとしては合理的です。どれか一つなら、続けやすさと効果のバランスからスクワットが最有力です。

大事なのは、最強の種目を探すことではなく、途切れない最小構成を作ること。その上で余裕が出たら、別の動きを足していけば十分です。

参考文献

Schoenfeld BJ. The mechanisms of muscle hypertrophy and their application to resistance training. Journal of Strength and Conditioning Research(2010)
Kraemer WJ, Ratamess NA. Fundamentals of resistance training. Medicine and Science in Sports and Exercise(2004)
ACSM. Progression models in resistance training for healthy adults. Medicine and Science in Sports and Exercise(2009)
Grgic J, et al. Effects of resistance training frequency on measures of muscle hypertrophy. Sports Medicine(2018)
Phillips SM, Winett RA. Uncomplicated resistance training and health-related outcomes. Sports Medicine(2010)

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