白髪は黒髪に戻るのか ― 科学が示す“可逆性”と、今日からできるケア習慣

「白髪は一度出たら戻らない」と思われがちですが、
コロンビア大学の研究(2021, eLife) は、人の髪で 一部の白髪が再び黒く戻る現象 を確認しました。
これは、ストレスの増減と髪色の変化が連動している ことを示す、非常に興味深い結果です。

コロンビア大学の研究が示したこと

研究チームは、髪の毛1本を根元から先端までデジタル解析し、
色の変化を「時間軸」に沿って読み取る新しい方法を開発しました。
その結果、ストレスが高まった時期に白くなり、ストレスが下がると再び黒くなった
というパターンが観察されました。

ただし、完全に白髪になった毛根(色素幹細胞が枯渇した毛包)では再び色が戻ることは難しい とされています。
つまり、まだ色素細胞の余力がある段階であれば回復の可能性がある ということです。

戻るかどうかは“体の余力次第”

白髪が黒に戻るかどうかは、年齢・遺伝・生活習慣などによって個人差があります。
しかし、体の代謝環境や毛包の健康を整えることで、新しく生えてくる髪を黒く保つ助けになる可能性 はあります。

ここでは、日々の生活で取り入れやすい 具体的なアクションプラン を紹介します。

今日からできる「黒髪を支える3つの習慣」

1. まずは ストレスを抜く時間 をつくる

  • 毎日5〜10分、静かな時間をつくって呼吸を整える
    → 深呼吸や軽いストレッチでOKです。
  • 週に2〜3回、15〜30分の軽い運動(早歩きやヨガなど)を。
    → 有酸素運動は血流を促し、ストレスホルモンの乱れを整えます。
  • 考えごとを止める時間を意識する
    → 入浴中や寝る前にスマホを見ないだけでも、自律神経は整いやすくなります。

コロンビア大学の研究でも、ストレスが減った後に髪色が戻る例 が見られました。
つまり、リラックスする時間を意識的に持つことが、間接的に髪の健康を支える のです。

2. 髪の 色を作る食材 を日常に取り入れる

黒髪のもととなる色素「メラニン」を作るためには、
タンパク質・鉄・銅・亜鉛・ビタミンB群 などが欠かせません。
特別なサプリを買わなくても、日常食で補うことができます。

  • 卵・豆腐・納豆・鶏むね肉:メラニンの材料であるチロシンを含む
  • ひじき・レバー・赤身の肉:鉄・銅を補給して色素細胞をサポート
  • ナッツ・海苔・カカオ:亜鉛やポリフェノールが酸化ダメージを防ぐ
  • 鮭・サバ・アーモンド:ビタミンDやEが血流と抗酸化を助ける

また、水分をしっかり摂ること も重要です。
頭皮の血流が良くなると、栄養が毛根まで届きやすくなります。

3. 観察することでモチベーションを保つ

黒髪が戻るかどうかを確認するために、難しい記録をつける必要はありません。
次の方法で十分です。

  • 月に1回、自然光で生え際と分け目をスマホで撮影する
  • 睡眠・気分・食事の満足度を5段階でメモする(ざっくりでOK)
  • 白髪の増減をなんとなく見返すだけでも、自分の生活リズムと変化がリンクしやすくなる

この ゆるい観察 が、行動を続けるモチベーションになります。

医学的な視点と現実的な限界

  • 現在、白髪を確実に黒髪に戻す医薬品は存在しません。
  • ただし、体全体の代謝や毛包環境を整えることで「これ以上増やさない」「新しい髪を黒く保つ」可能性 があります。
  • 皮膚科では、ビタミンや鉄・亜鉛の不足チェック、甲状腺機能などの検査 も可能です。

まとめ:戻すよりも、黒を保つ体 をつくる

  • ストレスを減らすと白髪が黒髪に戻る例がある
  • 栄養と血流を整えることが、髪色を支える
  • 小さな習慣を続けることで、毛包の再生力を高める土台ができる

白髪は「老化のサイン」ではなく、体のリズムの記録 でもあります。
心と体のバランスを整えることが、結果的に髪の色にも現れてくる かもしれません。

免責事項

ここで紹介した内容は、研究報告や一般的な健康情報に基づいたものであり、
効果には個人差があります。
体質・持病・内服薬などによっては適さない方法もありますので、
心配な場合は皮膚科や医療専門職にご相談ください。

参考文献

  • Rosenberg AM et al. (2021). Reversal of hair greying in humans linked to stress reduction. eLife, 10:e67437.
  • Zhang B et al. (2020). Hyperactivation of sympathetic nerves drives depletion of melanocyte stem cells. Nature, 577, 676–681.
  • Tobin DJ (2022). Human hair greying: Reactive oxygen species, stem cells, and ageing. International Journal of Trichology, 14(1), 1–10.
  • Picardo M & Cardinali G (2021). The importance of oxidative stress in hair ageing and greying. International Journal of Molecular Sciences, 22(12), 6231.
  • Columbia University Irving Medical Center (2021). Stress can turn hair gray—and it’s reversible, study finds.

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