人間ドックで
「eGFR が低めです」「クレアチニンがやや高いです」
と書かれていると、
腎臓が悪くなっているのでは と不安になる方は少なくありません。
一方で腎機能の数値は、
年齢・体格・筋肉量・生活習慣の影響を強く受ける指標
でもあります。
この記事では、
eGFR とクレアチニンの違い
どこまでが加齢変化で、どこから注意が必要か
日常でできる現実的な対応
を科学的に整理します。
腎臓は「ろ過」と「調整」を担う重要臓器
腎臓の主な役割は以下です。
- 血液をろ過し老廃物を尿として排出
- 水分・電解質(ナトリウム・カリウム)の調整
- 血圧の調節
- 赤血球を作るホルモンの分泌
腎機能が落ちると、
自覚症状がほとんどないまま進行する
という特徴があります。
そのため、人間ドックでの数値は
非常に重要な早期サイン になります。
クレアチニンとは何を見ている数値か
クレアチニンは、
筋肉の代謝で自然に生じる老廃物 です。
通常は腎臓でろ過されて尿に排泄されますが、
腎機能が落ちると血中に溜まりやすくなります。
ただし注意点があります。
- 筋肉量が多い人は高く出やすい
- 高齢者や痩せ型では低く出やすい
- 脱水で一時的に上がることがある
つまり、
クレアチニン単独では判断しにくい指標
なのです。
eGFR は「腎臓の総合点」
eGFR は、
クレアチニン値・年齢・性別を使って算出される
腎臓のろ過能力の推定値 です。
一般的に
- 60 以上:概ね正常範囲
- 45〜59:軽度低下
- 30〜44:中等度低下
- 30 未満:高度低下
と分類されます。
ここで重要なのは、
eGFR は年齢とともに自然に低下する
という点です。
「年齢相応の低下」と「病的低下」の違い
40代以降では、
eGFR は年に 0.5〜1 程度ずつ低下すると言われています。
そのため
- 60 前後で安定している
- 数年変化がない
場合は、
過度に心配する必要がないケース も多くあります。
一方で注意が必要なのは、
- 短期間で下がっている
- 毎年確実に低下している
- 尿異常(たんぱく尿・血尿)を伴う
こうした場合です。
腎機能が低下しやすい背景要因
- 高血圧
- 糖尿病・血糖異常
- 脱水(水分摂取不足)
- 鎮痛薬の長期使用
- 喫煙
- 睡眠不足・慢性ストレス
特に
血圧・血糖・脱水
は腎機能に直結します。
eGFR が低めと言われたときの現実的対応
水分摂取を見直す
慢性的な軽度脱水は、
eGFR を低く見せる代表的要因です。
- のどが渇く前に飲む
- 水・お茶を中心に
- アルコールは水分として数えない
血圧管理を意識する
高血圧は腎臓の血管を傷めます。
- 塩分を控えすぎず適量に
- 就寝前のスマホ・夜更かしを減らす
- 軽い有酸素運動
タンパク質は「適量」を意識
極端な高タンパク食は、
腎臓に負担をかける可能性があります。
一方で
必要以上に減らす必要はありません。
市販の鎮痛薬を漫然と使わない
NSAIDs(解熱鎮痛薬)の常用は、
腎機能低下の原因になります。
数値は「一回」ではなく「流れ」で判断する
腎機能評価で最も大切なのは、
経年変化 です。
- 毎年ほぼ同じ
- 緩やかな変化
- 急激な低下がない
これらを確認することで、
適切な対応レベルが見えてきます。
早めに医療機関へ相談すべきケース
- eGFR が 45 未満で推移している
- 数年で急激に低下している
- たんぱく尿・血尿がある
- 高血圧や糖尿病を合併している
これらの場合は、
腎臓内科での評価が安心 です。
まとめ ― 腎機能は「静かに教えてくれる指標」
- クレアチニンは筋肉量の影響を受ける
- eGFR は腎機能の総合評価
- 年齢相応の低下は珍しくない
- 血圧・血糖・水分が重要
- 経年変化で判断する
腎機能の数値は、
今すぐの危険を示すものではなく、将来への調整ポイント
であることが多い指標です。
怖がりすぎず、
しかし軽視せず、
腎臓にやさしい生活を意識していきましょう。
参考文献
Kidney International (2019)
New England Journal of Medicine (2018)
Journal of the American Society of Nephrology (2021)
Clinical Journal of the American Society of Nephrology (2020)
KDIGO 慢性腎臓病ガイドライン (2022)


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