ストレッチは、自分でできる最も手軽なボディケアの一つです。
しかし、実際には整体・エステ・タイ古式マッサージなど“他者の手によるストレッチ”を併用する人も少なくありません。
この記事では、学術的な知見をもとに「自分でやるストレッチ」と「施術者によるストレッチ(マッサージ含む)」の違いと、健康的に組み合わせるコツを紹介します。
自分でやるストレッチの科学的な効果
静的ストレッチ(ゆっくり伸ばして止めるタイプ)は、筋肉や腱の粘弾性を高め、関節可動域(ROM)を拡大し、姿勢・血流・代謝を整えることが研究で明らかになっています(Bandy et al., 1997; 谷澤 ほか, 2014)。
特に、15〜30秒を1回として週2〜3回以上継続することで、柔軟性や疲労回復に有効とされています。
自分でフォームを調整でき、習慣化しやすいのが最大の利点です。
整体やマッサージで受けるストレッチ ― “外から伸ばす”アプローチ
タイ古式マッサージなど、他者が関節や筋肉を動かすストレッチは、“受ける側が脱力した状態”で筋を伸ばせる点が特徴です。
このとき副交感神経が優位になり、血流・筋膜の滑走性・筋緊張の緩和など、自分では届きにくい深部へのアプローチが可能になります。
研究例
- タイ古式マッサージを行った群で、脚部筋疲労の回復や柔軟性改善が確認された(Somphai et al., 2025)。
- 慢性腰痛患者への施術では、単なる教育指導群よりも背部の柔軟性(前屈テスト)が改善(Buttagat et al., 2023)。
- 一方で、セルフストレッチと比較して有意差がないケースもある(Wohlann et al., 2024)ことから、頻度・対象部位・継続性が効果を左右します。
セルフ vs マッサージ ― 効果の違いと上手な使い分け
| 観点 | セルフストレッチ | マッサージ・施術付きストレッチ |
|---|---|---|
| 主な目的 | 柔軟性維持・疲労軽減 | 深部筋・筋膜のリリース、リラクゼーション |
| 到達範囲 | 届く範囲が限られる | 他者の力でより広範囲に可動域を拡大できる |
| 効果の持続 | 継続次第で長期維持可能 | 一時的な効果だが“再始動”に有効 |
| コスト・頻度 | 低コスト・高頻度で継続可 | コスト高・月1〜4回が現実的 |
| おすすめ対象 | デスクワーク中心の人、運動習慣を作りたい人 | 体が硬い人、可動域制限や疲労が強い人 |
現実的な活用法 ― ハイブリッドモデルが最も効率的
ストレッチの効果を最大化するためには、自宅でのセルフ+定期的な専門施術の併用が理想的です。
- 日常のベース:セルフストレッチ(週2〜3回)
- 太もも・ふくらはぎ・胸・股関節など主要部位を中心に。
- 1回あたり20〜30秒×2セットを目安に。
- メンテナンス:月1〜4回のマッサージ施術
- タイ古式マッサージなど“伸ばす施術”を取り入れることで、
自宅ストレッチの効果を底上げ。 - 特にデスクワークで縮みやすい筋膜・腸腰筋・背部には有効。
- タイ古式マッサージなど“伸ばす施術”を取り入れることで、
- 施術後のフォロー:
- 施術直後は筋肉が伸びやすくなっている“ゴールデンタイム”。
このタイミングで軽めのセルフストレッチを行うと、
施術効果を長く保てることが報告されています(Huberman, 2023)。
- 施術直後は筋肉が伸びやすくなっている“ゴールデンタイム”。
まとめ ― “外からほぐす日”と“自分で整える日”をつくる
セルフストレッチは、習慣として続けることで柔軟性・代謝・姿勢を改善します。
一方で、整体・エステ・タイ古式マッサージなどの施術は、
深部のこわばりをリセットし、自分の体を動かしやすくする“再起動スイッチ”のような存在です。
理想は、
「毎日の小さなセルフケア」+「月1の外部メンテナンス」。
この2つをバランスよく組み合わせることで、体のしなやかさと疲れにくさを両立できます。
参考文献
- Bandy WD et al. (1997) Phys Ther, 77: 1090–1096.
- 谷澤 真ほか (2014) 『短時間の静的ストレッチングが柔軟性および筋出力に及ぼす影響』 理学療法科学教育研究, 21(1): 51–56.
- Buttagat V et al. (2023) Chiropractic & Manual Therapies, 31: 31.
- Somphai S et al. (2025) BMC Complementary Medicine and Therapies, 25: 42.
- Wohlann L et al. (2024) Sports, 12(4): 109.
- Huberman A. (2023) Stretching Protocols to Increase Flexibility and Support General Health.


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